ベクトルが嫌いな人へ|使うべき公式を即座に見分ける3つの『神ワザ』
2025.11.25
荷川取
目次
― どの瞬間に使うべきかがひと目で分かる ―
はじめに
ベクトルは「どの式を使えばいいのかわからない」「式の意味が分からない」で手が止まりがちですが、
実は パターンさえ知っていれば得点源になる単元 です。
今回は、入試で本当に使える 神ワザ3つ を
“どの瞬間に使うべきか” を明確にしながらまとめました。
神ワザ①
位置を知りたいなら、係数の和=1を無理やり作れ
― ベクトル式が出た瞬間に比が確定する最強テクニック ―
◆ 神ワザ①を使うべき瞬間
次の形に遭遇したら 一撃で使える ワザです:
\[\vec{OP} = s\vec{OA} + t\vec{OB}\]
しかも、s や t が
小数、分数、よく分からない係数
になっている場合。
このとき s+t を1にそろえてしまえば比が分かる。
これが神ワザ①の発動点。
【実例:国公立標準レベル】
A(2,1), B(8,4)。
P が \[\vec{OP}=2\vec{OA}+3\vec{OB}\]
と表されるとき、Pの位置を求めよ。
● 神ワザ①の使いどころ
係数は 2 と 3。
合計は 5。
→ 「5で割れば分点になる」 と即判断。
● 実際にそろえる
\[\vec{OP}=5\left(\frac{2}{5}\vec{OA}+\frac{3}{5}\vec{OB}\right)\]
括弧内の係数合計=1
→ A:B=3:2 の内分点。
◆ 神ワザ①が刺さる入試パターン
- 分点の位置を求める
- 三角形の重心・中線・比の問題
- 等式から点Pの位置を求める問題
- 共通テストの誘導で微妙な係数が出る場面
何より
“位置関係を式を見るだけで理解できる”
のが最大のメリット。
神ワザ②
「動く範囲」の問題は、s,t の条件4パターンで即答せよ
― 三角形・線分・平行四辺形を計算なしで判定 ―
◆ 神ワザ②を使うべき瞬間
- 問題文に 「Pが動く範囲(または存在範囲)を求めよ」 とある
- ベクトルが s,t を使った式になっている
- そこに s,t の等式or不等式 がくっついている
この3点が揃った瞬間、
→ 計算より先に “s,t の条件の形” を読む
これが神ワザ②の使いどころ。
◆ よく出る条件パターン4つをインプットせよ!
| s,t の条件 | P の動く範囲 |
|---|---|
| s≥0, t≥0, s+t=1 | 線分AB |
| s≥0, t≥0, s+t≤1 | 三角形OAB内 |
| 0≤s,t≤1 | 平行四辺形 OAB A’ |
| s+t = 定数 | 直線 |
【例題:共通テスト頻出レベル】
\[\vec{OP}=s\vec{OA}+t\vec{OB}\qquad(s\ge0,\;t\ge0,\;s+t\le1)\]
点Pの動く範囲を答えよ。
● 神ワザ②の使いどころ
不等式が見えた瞬間にこれは範囲判定問題 と気付く。
条件は
- s≥0
- t≥0
- s+t≤1
→ 三角形OAB の内部と辺。
● 解答
Pは三角形OABの内部およびその境界上に存在する。
◆ 神ワザ②が刺さる入試パターン
- “存在範囲”を問う問題
- パラメータを使った文章問題
- 共通テストの誘導問題
- 二次試験の前半で出てくる“範囲の確認”問題
特に計算が増えそうな場面ほど神ワザ②が効く。
◆ 併せて使えるテクニック②
s=0 / t=0 / s+t=1 の3本線で枠を作る
- s=0 → OB 上
- t=0 → OA 上
- s+t=1 → AB 上
この3つさえ理解していれば、
問題がどれだけ複雑に見えても枠組みが一瞬で決まる。
神ワザ③ベクトルで角度が絡んだら内積!垂直・平行・最大最小を一撃で判定
― 角度の情報を直接読み取る ―
◆ 神ワザ③を使うべき瞬間
次の語句が出てきたら 迷わず内積へ切り替える。
「垂直」
「直角」
「平行」
「なす角」
「最大」「最小」
いずれも角度問題なので、
内積で処理するのが最短ルート。
◆ 判定表
| 条件 | 方法 |
|---|---|
| 垂直 | 内積=0 |
| 平行 | 成分比が等しい |
| 和ベクトル最大 | 方向が同じ(θ=0°) |
| 和ベクトル最小 | 逆向き(θ=180°) |
【例題:国公立標準レベル】
点Pを \[\vec{OP}=\vec{OA}+t\vec{AB}\]で表す。
PA ⟂ PB をみたす t を求めよ。
● 神ワザ③の使いどころ
「PA ⟂ PB」 → 内積=0
と判断するのが開始点。
● 解法
\[\vec{PA}=\vec{OA}-\vec{OP}=-t\vec{AB}\]
\[\vec{PB}=\vec{OB}-\vec{OP}=(1-t)\vec{AB}\]
内積=0
\[(-t\vec{AB})\cdot((1-t)\vec{AB})=0\]
\[t=0, t=1\]
→ A と B のとき直角三角形が成立。
◆ 神ワザ③が刺さる入試パターン
垂直条件
なす角一定
和ベクトルの長さの最大・最小
中線や高さの条件
三角形のタイプ(鋭角/直角/鈍角判定)
◆ 併せて使えるテクニック③
成分で行くか/ベクトルのまま行くかを最初に決める
ベクトル問題は処理選択ミスが一番危険。
- 座標計算 → 成分が強い
- 範囲・比 → ベクトル式のままが強い
- 内積中心 → 成分が圧倒的
最初の5秒の判断で勝負が決まる。
まとめ:3つの神ワザは“使う場面”を掴めば威力が最大化する
| 神ワザ | 発動する瞬間 | 得られる効果 |
|---|---|---|
| ① 位置を知りたいなら、係数の和=1を無理やり作れ | ベクトル式にs,tが出た瞬間 | 分点の比が丸見え、位置関係を瞬時に把握 |
| ② 「動く範囲」の問題は、s,t の条件4パターンで即答せよ | 不等式つきのパラメータが出た瞬間 | 計算なしで図形の場所が確定 |
| ③ ベクトルで角度が絡んだら内積!垂直・平行・最大最小を一撃で判定 | 垂直・平行・角度・最大最小が出た瞬間 | 最短ルートで式を作れる |
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投稿者
荷川取
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