2025年共通テスト 化学対策|時間配分・出題傾向・時短テクニックを徹底解説
2024.11.24 大学受験オススメ情報 富士校
荷川取
目次
2025年共通テスト 化学対策|時間配分・出題傾向・時短テクニックを徹底解説
センター試験から共通テストへの移行:出題の本質的な変化
基本的なスキルから「思考力・判断力・表現力」重視へ
共通テスト化学は、センター試験とは異なり、独自の出題形式やテーマを採用していることが特徴です。この試験では、以下のような特有の問題形式が頻出します。
1. 身近な現象や実験を題材とした問題
例:カセットコンロのガスや薬品の保存方法など、日常生活に根ざした設定が出題されます。これらの問題は、化学の知識だけでなく、実験器具の使用目的や現象の本質を理解しているかを問われます。
対策:実験の流れを把握するために、学校での実験ノートや参考書の実験解説を見直し、器具の名称や目的を確認しましょう。
2. グラフや表の読み取り問題
例:気体の体積変化を示すグラフや、溶解度を示す表の解釈など。これらは、データを正確に読み取り、解釈する能力を必要とします。
対策:問題集や資料集で見られるグラフや表を使い、縦軸・横軸の意味を把握しながら読み取る練習をしてください。
3. 指導要領外の内容や未知の化合物に関する問題
例:アルギン酸ナトリウム、p-アミノフェノール、シュウ酸錯イオンなど、教科書に記載のない化合物に関する問題が出題されることがあります。
対策:未知の物質が出題されても焦らないよう、問題文に記載された情報をもとに考察する訓練が必要です。これには模試型問題が有効です。
問題構成の具体例
①表・グラフなど実験データの読み取り問題
実験データから得られたグラフを基に最適な数式を考える問題。
②指導要領外の内容や未知の化合物に関する問題
与えられた化学式・構造式・情報から、その場で考察していく問題。
共通テスト2024年本試験から引用
おすすめ時間配分例
化学の配点と時間配分例
大問 | 分野 | 配点 | 時間配分 |
---|---|---|---|
1 | 物質の構成・状態 | 20 | 12分 |
2 | 物質の変化 | 20 | 12分 |
3 | 無機物質・物質の変化 | 20 | 10分 |
4 | 有機化合物・高分子化合物 | 20 | 10分 |
5 | 物質の構成 | 20 | 10分 |
見直し | 6分 |
マークミスの対策・後回しにした問題を解きなおすため、見直し時間(6分)は必ず確保しておきましょう。
分野別の頻出問題&解法・時短テクニック
1. 理論化学
【頻出問題】
- 1.酸塩基の計算(中和滴定、pH計算)
- 2.酸化還元反応(半反応式の作成、酸化数の変化)
- 3.エネルギー変化や反応熱の計算
【解法・時短テクニック】
- ①中和滴定
反応式をまず確認し、必要なモル比を整理します。次に、公式に基づいてモル濃度と体積を代入するだけでなく、単位を確認して計算ミスを防ぎます。- 時短テクニック: 問題で与えられる体積やモル濃度をまず一覧表に整理して計算効率を上げます。
- 読み取りのポイント: 滴定のスタートやエンドポイントに関する情報を正確に読み取り、過不足なく式に反映します。
- ②酸化還元反応の解法
酸化剤・還元剤の半反応式を個別に作り、次に全体をバランスさせます。必要であれば、酸性条件や塩基性条件に応じて水素イオンや電子、水分子を追加します。- 時短テクニック: 酸化剤と還元剤を問題文中でハイライトし、それぞれの変化を最初にメモします。
- 読み取りのポイント: 問題中に示された「電荷の変化」や「電子移動」に関する情報が重要です。
- ③気体の法則とグラフの解釈
状態方程式を覚えるだけでなく、グラフで示された関係(例えば圧力と温度)を読み取り、直接的な比例関係を見つける練習をします。- 時短テクニック: 圧力、体積、温度のいずれか2つが変化する際、比例定数を暗算でチェックして関係性を即座に確認します。
- 読み取りのポイント: グラフの軸ラベルと傾き・曲線の特徴を迅速に把握することが重要です。
2. 無機化学
【頻出問題】
- 1.イオン化傾向の並び替えイオン分析や製法に関する知識(例:アンモニアソーダ法)
- 2.酸化還元反応とその色の変化(例:二クロム酸イオン→クロムイオンの還元)
- 3.金属や合金の化学的性質
【解法・時短テクニック】
- ①イオン化傾向の解釈
イオン化傾向は金属が電子を失う順序を示します。反応式を立てる際は、傾向が大きい金属ほど還元されやすいことを覚えておきましょう。- 時短テクニック: イオン化傾向表を活用し、反応する金属を直感的に特定します。表を見ずに答えられるよう、定番の金属ペアは暗記しましょう。
- 読み取りのポイント: 問題文中で「酸化」「還元」というキーワードや、電子移動に関する記述を見逃さずにキャッチ。
- ②酸化還元反応の式の組み立て
酸化数の変化を追い、半反応式を作るステップに分けるとミスを減らせます。まずは酸化剤・還元剤の確認から始めて、電子の移動を明確に書きましょう。- 時短テクニック: 酸化数を記載するだけでなく、問題文中の反応条件(酸性・塩基性)をすぐにメモして、手戻りを防ぎます。
- 読み取りのポイント: 酸化数の変化が記載されている箇所を最優先でチェックし、反応の前後関係を整理しましょう。
- ③装置図の解釈
装置を図示する際には、ガスの性質(例えば乾燥のための硫酸を通すなど)を考慮し、役割に適した部材を選択します。- 時短テクニック: 定番の発生装置(例えばアンモニアの乾燥装置)はフローチャート形式で覚え、問題文の設定にすばやく当てはめます。
- 読み取りのポイント: 装置図内の「矢印の向き」や「ガスの記号」に注目して、流れを明確に追うことが重要です。
3. 有機化学(脂肪族・芳香族化合物)
【頻出問題】
- 1.構造決定問題(分子式、不飽和度、官能基の種類)
- 2.アルコール、エステル、アミンなどの反応と特徴高分子の構造や特性(例:ナイロン、ポリエチレン)
【解法・時短テクニック】
- ①構造決定のコツ
分子式と不飽和度を計算し、官能基の有無を確認します。不飽和度は計算できるようにしておきましょう。さらに、NMRスペクトルや官能基テスト結果などの情報を用いて具体的な構造を導きます。- 時短テクニック: 分子式や官能基を瞬時にメモして、後で詳細な分析に役立てます。
- 読み取りのポイント: 問題文内に記載されている「特定の官能基」や「反応生成物」に目を向け、矛盾がないか確認しましょう。
- ②反応経路の整理
例えば、アルコールが酸化されてアルデヒドやカルボン酸になる場合、酸化剤や条件を整理して覚えましょう。反応の順序を矢印付きのマップとして描くと、複雑な経路を一目で理解できます。- 時短テクニック: 反応条件(触媒、温度など)は略記号を用いて手早く整理しましょう。
- 読み取りのポイント: 「酸化」「還元」の記述や生成物名が反応経路を示唆する場合があるため、それらの単語を最優先で確認します。
- ③芳香族化合物の反応パターン
芳香族化合物は求電子置換反応が基本です。ハロゲン化や硝化など、それぞれの反応条件と生成物を覚えつつ、置換位置のルール(オルト-パラ配向、メタ配向)も押さえましょう。- 時短テクニック: 配向性(オルト-パラ、メタ)のルールを表にまとめ、反応条件ごとに簡易チェックリストを作成します。
- 読み取りのポイント: 問題文で強調されている条件(例:濃硝酸、硫酸)を見逃さず、生成物をイメージして問題に取り組みます。
4. 高分子化合物
【頻出問題】
- 1.天然高分子(例:デンプン、セルロース)と合成高分子(例:ポリ酢酸ビニル)の特性
- 2.分子量計算や重合反応
- 3.分子量計算
【解法・時短テクニック】
- ①重合反応の計算
ポリマーの重合反応を考える際、以下の手順を踏むと計算ミスを防げます。
1.単位分子のモル質量を計算
2.重合度を確認し、(単位分子の質量)×(重合度)−(端末基の調整)で計算。
3.重縮合の場合、反応で生成される水や他の副生成物の質量も考慮する。- 時短テクニック: 重合度が明確でない場合、まずは問題文からパターンを確認。試験直前には、代表的なポリマー(ポリエチレン、ナイロン6,6など)の計算例を反復演習。
- 読み取りのポイント: 「端末基」や「副生成物」の有無を見逃さない。例えば「-OH」や「-NH2」基の記載がヒントになることが多い。
- ②天然高分子の構造把握
デンプン(アミロースとアミロペクチン)やセルロースの構造に関する問題では、構造の違いを明確に整理することが重要です。デンプン:α-グルコースが直鎖状または分岐鎖で結合(アミロースは直鎖、アミロペクチンは分岐構造)。
セルロース:β-グルコースが直鎖で結合し、水素結合による高い安定性を持つ。- 時短テクニック: グルコースの構造をまず暗記。その後、直鎖と分岐の模式図を簡単に描けるよう練習しておくと、問題を見た瞬間に構造がイメージできる。
- 読み取りのポイント: 「α結合」「β結合」などの表記や、分岐の有無に関する記述を確認。これが違いを見分ける決定的な要素になる。
- ③合成高分子の用途や特性
ナイロンやポリエステル、ポリプロピレンなどの用途を問う問題では、材料の特性と実際の使用例をセットで覚えましょう。ナイロン:強度が高く、耐摩耗性が優れる → 衣類やロープに使用。
ポリカーボネート:耐衝撃性と透明性 → DVD、ヘルメットに使用。- 時短テクニック: 特性ごとに表を作成(例:「耐熱性」「透明性」「耐摩耗性」など)。使用例を暗記しておけば、選択肢を素早く絞り込める。
- 読み取りのポイント: 問題文中に出てくる「特性」や「用途」に注目し、それがどのポリマーに該当するかを即座にリンク付けする。
- ④ペプチド結合やタンパク質の性質
アミノ酸がペプチド結合で連結される過程や、それに基づくタンパク質の一次構造を理解しましょう。また、タンパク質の性質(変性や等電点)は頻出事項です。
ペプチド結合:-CO-NH-の構造を持ち、脱水縮合反応で形成。
等電点:アミノ酸の正電荷と負電荷が釣り合うpHのポイント。- 時短テクニック: アミノ酸の分類(酸性・塩基性・中性)を一覧でまとめ、等電点の計算を何度も練習。特定のpHでの電荷の変化を理解しておくと素早く解ける。
- 読み取りのポイント: 問題文に記載されたpHや「電荷」「分子の動き」についての記述を優先的に把握する。
- ⑤高分子の熱特性
ポリマーの融点、軟化点、耐熱性については、分子構造と結びつけて考えます。結晶性とアモルファス性の違いがポイントです。
結晶性ポリマー:規則正しい構造で高い融点を持つ(例:ポリエチレン)。
アモルファス性ポリマー:無秩序な構造で柔軟性に優れる(例:ポリ塩化ビニル)。- 時短テクニック: 結晶性ポリマーとアモルファス性ポリマーを対比して暗記。問題文のキーワード(例:「硬さ」「透明性」)に応じて分類を判断。
- 読み取りのポイント: 問題文の中で、分子構造や特性に関する言葉(例:「規則的」「柔軟性」)があれば、それを正確に選択肢に結び付けます。
高得点を目指すための具体的な学習ステップ
1. 情報整理と読解力の向上
共通テストでは、化学的な知識だけでなく、問題文や図表を正確に読み取る力が重要です。図やグラフを読み解く練習を通じて、情報整理力を磨きましょう。
2. 模試・過去問・問題集の活用
共通テスト形式の模試・過去問・問題集を使い、実戦力を養いましょう。60分以内で全問を解き切るための時間配分を意識した演習が必要です。
3. 解き方ノートの作成
問題を解いたら、つまずいた箇所を記録し、解説を丁寧にまとめたノートを作成しましょう。同じミスを繰り返さないための学習ツールとして活用できます。
4. 自分で図示する習慣をつける
問題文に状況説明が不足している場合は、自分で簡単な図を描いて問題を可視化しましょう。これにより、見落としが減り、正確な解答を導けるようになります。
まとめ:共通テスト化学攻略のポイント
・分野ごとに最適な学習方法を選択:無機化学は暗記中心、有機化学は反応経路の理解と演習、理論化学は計算スキルの習得を重視します。
・グラフや表の活用:データの意味を正確に読み取る練習を積み、未知のテーマにも対応できる力を養います。
・模試や過去問を積極的に活用:試験本番を意識した時間配分と問題演習で、実践力を高めましょう。
・難問は後回しにする判断力:分からない問題に時間を割きすぎないよう注意し、解ける問題から得点を稼ぐことが重要です。
これらのポイントを押さえ、共通テスト化学で安定した高得点を目指しましょう!
投稿者
荷川取
富士校舎の校舎長荷川取です!
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